スケーラビリティのトリレンマを理解する

ブロックチェーン

hmzです。

今回はスケーラビリティのトリレンマに関して面白い記事があがっていたのでまとめていこうと思います。

この記事はJAMO氏がXTRABYTESに投稿した記事の翻訳・要約記事になります。
元記事:https://blog.xtrabytes.global/technology/understanding-the-scalability-trilemma/

なぜブロックチェーンなのか?

スケーラビリティのトリレンマを理解するためには、ブロックチェーン技術の基本的な前提を抑えておく必要があります。

Georgious Konstantopoulos氏によれば、ブロックチェーンとは

“信頼を必要としない個人によるグループ間で共有されるデータベースのことで、この状態を維持するための集権的機関を必要としないもの”

と定義されています。

一部の人々は、なぜ集権的な機関を取り除く必要があるのかと尋ねます。それによって安定性や遺憾性が保たれているのではないか?答えはYESです。しかしながら集権的機関には必ず集権的な権力が伴います:そしてその権力というものは機関自身(或いはハッカーなどのその他の人物)によって他者を欺くために利用されます。「権力は腐敗する」という言葉をご存知ですか?

若い世代の間では、ブロックチェーン技術へのシフトは集権的な権力を排除するという理想的な情熱によって推し進められています。長年の間、それ(権力)はあらゆるスケールにおいて無数の不正の元凶であり続けてきたことがわかります。ブロックチェーン技術は、最も純粋な形でimmutableで公的な記録の作成が可能になるため、腐敗の可能性さえもを排除します。これはブロックチェーンの高いレベルのセキュリティと分散化を前提とするものです。

一方で、ブロックチェーンを利用する一部のプロジェクトにおいて、いくらか分散化という側面が重視されていません。この現実は分散的であるかどうかといった問題というよりむしろ程度の問題です。どの程度の分散化が必要とされるかという議論は、政治システムと類似しており、より高度な分散化が達成されれば、同時に腐敗の可能性もまた小さくなるということです。同様に、政治システムがより分散化してしまうことで、意思決定のスピードが遅くなるということも事実です。この議論のには主観的性質が伴うため、このスペクトルの両端には必ずと言っていいほど純粋主義者と実践主義者が現れます。システムが機能していくためには、多くの場合トレードオフが必要とされます;これがスケーラビリティのトリレンマの本質です。

スケーラビリティにおけるトリレンマ

ブロックチェーン技術の普及を妨げている一つの原因として、スケールが難しい点(多くのユーザーによる利用を想定した場合の高いスループットへの対応)が挙げられます。初期のブロックチェーンとして、ビットコインやイーサリアムは常にセキュリティや分散化において核となる部分に焦点を当ててきました。セキュリティを確保するために、これらのブロックチェーン上のすべてのフルノードはトランザクションを承認する前に合意形成をする必要があります。この要件のために、ビットコインは約7TPS、イーサリアムは約15TPSと非常に低いTPSの値となっています。この問題に対処するためイーサリアムの開発者は、セキュリティや分散性を犠牲にしないソリューション(Sharding・Capser)の開発に努めています。彼らはまた、レイヤー2ソリューション、例えばビットコインの場合ライトニングネットワークなどのソリューションの開発も行っています。

イーサリアムの創設者であるVitalik Buterin氏は、「スケーラビリティ」「セキュリティ」「分散化」の3つの要素が、いわゆるスケーラビリティのトリレンマを形作っているとしています。この3つのすべての要素が必要とされますが、同時に実現できるのは2つのみです。現時点では、高速なトランザクションを実現するためには、分散化の側面を犠牲にしていく必要があります。RippleやEOSは分散化を犠牲にしながらも高いTPSを実現しているプロジェクトの2つの例です。結果として、これらのプロジェクトは最低限の検閲耐性しか持ちません:例えば、強力な企業はあらゆる資金を凍結することも可能です(Ripple・EOS)。これはブロックチェーンの定義からまさに逸脱しており、RippleやEOSがコミュニティ内で激しい非難の対象となる要因の一つです。

どのくらい早ければ十分なのか?

仮想通貨の愛好家は、TPSに関してVISAとの比較を行いますが、VISAは現実で11,000TPS、ストレステストでは24,000TPSを達成しています。しかし、平均してVISAは2,000TPS程度の処理しか行っていません。

そのうえ、VISAはVISAの決済ネットワーク上で起こったトランザクションのみを処理します。これは通常の銀行間の送金やPayPalを利用した送金などを含みません。国際送金における王座を狙うブロックチェーンのプロジェクトは、VISAのトランザクションだけでなく、その他多くのトランザクションの処理を行う必要があります。更には、仮に魔法のようなTPSを達成したとしても、そのネットワークにおけるスピードの向上は消費者の体感には全く影響しません。これらの技術を普及させていくためには、ユーザーへのサポートやアクセシビリティ、マーケティングなどが鍵となります。

多くのプロジェクトにおいて開発者は、このスケーラビリティのトリレンマの解決に尽力しており、新規のプロジェクトではこの解決策を見出したと主張するものさえもあります。しかしながら、まだ開発は初期段階でしかなく、現実社会におけるテストなどを通過していく必要があるのが現状です。

おそらく、この問題に対する最適解は複数の目的に対応したブロックチェーンを採用していくことです。つまり、様々なスピードや検閲耐性を持つ独立した幅広いブロックチェーンが、ユーザーの要件や集権化の許容範囲に応じて組み込まれていくような形です。一部のプロジェクトでは、このような形で十分に機能すると考えておりそれを補完するためにクロスチェーン技術の準備を進めています。

まとめ

XTRABYTESのJAMO氏による記事「Understanding the Scalability Trilemma」を日本語でまとめてみました。

完全な分散化に解があるのかどうか、氏のように目的に応じたハイブリッド型が普及していくのか、注目していきたいですね。

ShardingやCasperが記事内で触れられていましたが、この辺りの技術はトリレンマの問題を見ていくにあたって今後も要注目ではないでしょうか?

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